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もしもの時に後悔しないために、帯状疱疹とワクチンのお話

1. 帯状疱疹ってどんな病気?

・子どもの頃にかかった「水ぼうそう」と同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス=VZV)が、何十年も神経に潜んでいて、体の抵抗力(免疫)が落ちたタイミングで再び暴れ出す病気です。

・チクチク・ピリピリした痛みと、水ぶくれを伴う赤い発疹が体の片側に帯状に現れるのが特徴。


2. 実は、3人に1人が一生のうちに経験

・50歳を過ぎると発症率が急上昇。80歳までに約半数がかかるとも言われます。

・糖尿病・がん・ステロイド/免疫抑制薬の服用、強いストレスなども誘因になります。


3. 放っておくと…最大の問題は「帯状疱疹後神経痛(PHN)」

・発疹が治った後も、⚡焼けるような痛み⚡が 3 か月以上続く合併症。

・50歳以上では約1~2割がPHNに移行し、日常生活や睡眠に大きな支障を来します。


4. 早めの受診と治療が鍵

・発疹が出て72時間以内に抗ウイルス薬を始めると、痛みや皮疹の期間を短縮できます。

・痛みが強い場合は、鎮痛薬や神経痛の薬を組み合わせてコントロールします。


5. いちばんの予防策=ワクチン(50歳以上対象)

① 不活化ワクチン「シングリックス®」

 ・2回接種(2か月間隔) 発症予防効果:50歳以上で約97%

② 生ワクチン「水痘ワクチン(弱毒化)」

 ・1回接種 発症予防効果:50~69歳で約70%、70歳以上で約50%


6. 相模原市の助成制度(2025年7月現在)

相模原市に住民票のある方は、以下の金額が市から補助されます。

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7. Q & A


Q. 帯状疱疹に一度かかったら、もうワクチンはいらない?

A. 再発リスクは残ります。発症から 1 年以上たっていれば接種を検討できます。


Q. 水ぼうそうにかかった覚えがありません…。

A. 90%以上の成人はウイルスを保有しています。ほとんどの大人が発症し得ます。


Q. 副反応が心配です。

A. シングリックス®は腕の痛み・発熱など一時的な反応が多いものの、重い副反応は極めてまれです。帯状疱疹やPHNによる長期間の激痛に比べれば、メリットが大きいと考えられます。


8. まとめ

✔ 帯状疱疹は決して「他人事」ではありません。

✔ 50 歳を過ぎたら、発症リスクも合併症リスクもぐんと上がります。

✔ 相模原市の助成で自己負担を大幅に減らして接種できます。

✔ ワクチンで9割近く防げる今こそ、備えどき。


「痛みのない未来」のために、まずはお気軽にご相談ください。


(参考文献)

・日本皮膚科学会 帯状疱疹診療ガイドライン2023

・NEJM 2015;372:2087-2096

・CDC Shingles (Herpes Zoster) Guidelines 2023

・相模原市保健所 帯状疱疹ワクチン接種費用助成要項(2025.4)


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