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“座りっぱなし”世代が選ぶべき運動は?最新研究が示す HIIT の底力

はじめに

リモート授業やデスクワークで「一日 8 時間以上、座りっぱなし」という人は多いはず。でも 長時間の座位は動脈を硬くし、脳のパフォーマンスも落とす――そんなエビデンスが年々蓄積しています。そこで中国・オーストラリア・香港の研究チームが、「どの運動が最も手っ取り早く、血管と脳を元気にするのか?」を 8 週間の実験で比べてくれました。


研究のざっくり概要

  • 対象:運動不足の大学生 63 名

  • 群分け:

    • HIIT(1 分全力+1 分休憩 ×10) 高強度

    • MICT(35 分中強度サイクリング) 有酸素

    • レジスタンストレーニング(全身を 60%1RM で) 筋トレ

    • 何もしない対照

  • 週 3 回 × 8 週間で、血管のしなやかさ・脳の働き・体組成を測定。


結果を一言で

  • 血管内皮機能(FMD, RHI):3 種の運動すべてで改善。

  • 動脈の硬さ(cfPWV):これも全群で低下。ただし AIx(心臓への負荷指標)は HIIT&MICT だけ改善。

  • 頭のキレ(実行機能):

    • HIIT:Stroop と N-back の反応時間が大幅短縮。Stroop課題とは?抑制機能(Inhibition) と呼ばれる “ブレーキ” の働き。注意のコントロールや衝動の抑制がうまくいくほど、反応が速く・正確になる。N-back課題とは?ワーキングメモリ(作業記憶)更新機能(Updating)。頭の中で情報を一時的に保存しながら、常に新情報と入れ替える“脳内メモ帳”の容量と柔軟さを評価。

    • MICT:そこそこ短縮。

    • RE:変化なし。

  • 体組成

    • HIIT&MICT=体脂肪ダウン+基礎代謝アップ。

    • RE=筋肉量アップ。

  • メカニズムの鍵BDNFIGF-1 というホルモン。

    • HIIT/MICT で増えた BDNF が血管を柔らかくして脳血流を押し上げ、結果として思考がクリアに。

    • 3 種の運動で増えた IGF-1 は末梢血管や動脈硬化改善に一役買っていた。


ここがポイント!忙しいあなたへの実践ガイド 

もしくは長時間の運動はちょっとという人向け

ライフスタイルおすすめ運動

1 回あたりの目安とにかく時間がないHIIT20 分以内(ウォームアップ+クールダウン含む)ランニング派MICT40 分のジョグ or バイク筋トレ好きRE6 種目×3 セット(全身バランス良く)

  • 座りっぱなし対策:1 時間ごとに立ち上がり、軽いストレッチや 2–3 分のその場足踏みで血流キープ。

  • HIIT のコツ

    1. まずは「30 秒全力+1 分ゆっくり」×5 から。

    2. 心拍計またはスマートウォッチで 90%HRmax を目標に。

  • 安全第一:高血圧や心疾患がある場合は医師に相談してからスタート。


研究の限界とこれから

  • 対象は 18–25 歳の健康な学生。中高年や持病持ちにそのまま当てはまるわけではありません。

  • サンプル数 63 と小規模。より多様な人を対象にした長期研究が今後必要です。


まとめ

この研究は、短時間の HIIT が“座りっぱなし世代”の血管と脳を同時に救う最有力候補だと教えてくれました。もちろん有酸素運動や筋トレも良いのですが、忙しい毎日に“効率”を求めるならまずは HIIT を 8 週間、試してみてはいかがでしょう?


最後読んでくれてありがとうございます!動画でもわかりやすく解説していますのでぜひ!


参考文献

  • Huang J. et al. Comparative Effects of Different Exercise Types on Cardiovascular Health and Executive Function in Sedentary Young Individuals. Med Sci Sports Exerc. 2025;57(6):1110-1122. DOI: 10.1249/MSS.0000000000003645


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