今回は、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)と日本脳炎についてです。 これらは共に、ワクチンで予防できる可能性が高い感染症です。
まず、流行性耳下腺炎について説明します。流行性耳下腺炎、一般的には「おたふくかぜ」は、主に子どもが罹るウイルスによる感染症です。感染源は飛沫や接触で、症状として耳下腺の腫れや風邪症状が現れます。
しかし、流行性耳下腺炎は軽度の症状だけでなく、重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。無菌性髄膜炎という、中枢神経系に影響を与える状態もその一つです。高熱、頭痛、嘔吐、光恐怖など、辛い症状が伴います。また、難聴のリスクもあります。耳下腺炎ウイルスが内耳に影響を与え、難聴を引き起こすことがあります。最悪の場合、この状態は永続的になり、耳の聴力を奪う可能性があります。日本では毎年700人~2300人前後のムンプス難聴が生じていると推定されています。
これらの重篤な症状を防ぐための最善の方法は、適切なワクチン接種です。海外では3種混合ワクチン(麻疹・風疹・流行性耳下腺炎)を使用していますが、日本では3種混合ワクチンは使用していません。流行性耳下腺炎は定期接種ではなく任意接種となっています。
日本ではおたふくかぜのワクチン接種が任意なのはワクチン接種による無菌性髄膜炎等の中枢神経系の副反応のリスクがあるとして定期接種になっていません。ワクチンによる無菌性髄膜炎の発生頻度が約2000人に1人~38000人に1人と発生頻度のばらつきが多く、きちんと日本人で評価してから定期接種にしようとなっています。
ここからは、私の意見ですが子供が急に難聴になってしまうのはかなりきつい思いをすると思うのでワクチンは接種したほうが良いかなと考えています。おたふくかぜによる難聴は高度から重度の難聴であり後遺症として残る事が多いと言われています。(自然感染による難聴の頻度は400人に1人~20000人に1人と言われています。ワクチンで難聴になる頻度は極めてまれです。)
次に、日本脳炎について解説します。日本脳炎は蚊によって媒介されるウイルス性の感染症で、初期症状はインフルエンザと似ています。しかし、症状が進行すると高熱、意識障害、痙攣などの神経症状を引き起こします。これらは深刻な神経学的障害を残す可能性があり、また、致命的な場合もあるため注意が必要です。死亡率は20〜40%で、幼少児や老人では死亡の危険は大きい。精神神経学的後遺症は生存者の45〜70%に残り、小児では特に重度の障害を残すことが多いとされています。
日本脳炎は大きな流行は近年なくだいたい10人前後の発症を認めています。メインは西日本で北に行くほど発症しにくくなっています。
日本脳炎に対する予防策として最も重要なのは、蚊に刺されないこととワクチン接種です。日本脳炎ワクチンは1歳と2歳で基礎接種2回、6歳と9歳で追加接種2回が行われます。
ただし、ワクチンは絶対的な保護を提供するわけではなく、蚊に刺されないための他の予防策と併用することが重要です。また、日本脳炎が流行する地域へ旅行する場合は、旅行の1ヶ月以上前に医療専門家と相談することをおすすめします。
流行性耳下腺炎と日本脳炎はワクチンで予防できる可能性がある感染症であり、ワクチン接種の重要性が認められます。これらの予防策は、集団生活の観点からも、個々の健康を保つためにも非常に重要だと思われます。
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