脈拍から分かる体の状態
健康診断や病院で脈拍(心拍数)を測る機会がありますよね。実は、脈拍は単なる心臓の動きを示すだけでなく、体に炎症があるかどうかを知る重要なヒントにもなります。
例えば、風邪をひいた時に熱が出ると脈拍が速くなることがあります。これは、体の免疫反応が活発になっている証拠です。炎症が起こると、体内で「サイトカイン」と呼ばれる物質が放出されます。このサイトカインが脳の視床下部に働きかけて体温を上げると同時に、心臓にも作用して脈拍を早めるのです。
炎症と脈拍のメカニズム
炎症があると、自律神経の中でも興奮を促す交感神経が活発になり、結果として脈が速くなります。特に炎症が強いほど、脈拍がより速くなる傾向があります。
慢性的な炎症と脈拍の関係
慢性的な炎症性疾患の場合、炎症が長引くことで自律神経のバランスが乱れ、常に脈が速めになる傾向があります。
関節リウマチ:炎症が続くことで交感神経が優位になり、安静時の脈拍が高めになりがちです。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病):重症時には頻脈が病状の指標となり、例えば潰瘍性大腸炎の患者さんで脈拍が毎分90回を超える場合、炎症が非常に強いことを示すことがあります。
感染症と頻脈の関係
感染症においても、頻脈は重要なサインとなります。熱が1℃上がると脈拍が約10回増えるとされており、脈拍の異常な速さは敗血症などの重い感染症の警告にもなり得ます。
医師としての経験からも、症状が長引いている方(例えば熱や下痢が1週間以上続く方など)では、脈拍の測定が診断の大きな手がかりになることが多いです。
運動習慣と炎症への影響
普段から運動習慣のある方は、炎症時にも脈拍が上がりにくい傾向があると考えられます。実際、私自身も有酸素運動を習慣化してから、風邪の際にアップルウォッチの頻脈アラートが減ったと実感しています。
日頃から脈拍をチェックする習慣をつけることで、体の変化にいち早く気づくことができます。
まとめ
脈拍の増加は体の炎症サインのひとつ
慢性炎症や感染症では頻脈が重要な指標となる
運動習慣は炎症時の体の反応を改善する可能性がある
日常的に脈拍をチェックし、体のメッセージに敏感になりましょう。適度な運動を取り入れることで、炎症時の体の負担を軽減できるかもしれません。ぜひ実践してみてください!
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