腰痛に悩む方々に朗報です。最新の研究によれば、個別化されたウォーキングプログラムと教育介入が、腰痛の再発を効果的に防ぐことが明らかになりました。この記事では、この研究の詳細とその実践方法について詳しく解説します。
研究の背景
腰痛は非常に一般的な症状で、多くの人が一度は経験するものです。特に腰痛が再発することは、生活の質を大きく損なう原因となります。これまで、運動が腰痛の再発を防ぐ手段として推奨されてきましたが、具体的にどのような運動が効果的であるかについては十分な証拠がありませんでした。
研究の概要
この研究はオーストラリアで実施されたもので、最近腰痛から回復した成人を対象としています。参加者は、個別化された進行的なウォーキングプログラムと教育介入を受けるグループと、無治療の対照群にランダムに割り当てられました。ウォーキングプログラムは、理学療法士による6回のセッションを通じて提供され、参加者は自身のペースでプログラムを進めました。
主な結果
研究の結果、ウォーキングプログラムを受けたグループは、活動制限を伴う腰痛の再発リスクが有意に低いことが確認されました。具体的には、再発までの中央値は介入群で208日、対照群で112日でした。さらに、介入群は健康関連の品質(EQ-5D-5Lスコア)も向上し、腰痛関連の障害(RMDQスコア)が減少しました。
費用対効果の評価
この介入は費用対効果の観点からも優れていることが示されました。
費用対効果の評価とは?
介入による健康改善の度合いを、かかるコストと比較することを指します。
QALY(品質調整生存年)という指標を使い、1年分の完全な健康状態に相当する価値を計算します。
具体的な数値
この介入にかかる追加の費用は1QALYあたりAU$7802(約82万8千円)です。つまり、このウォーキングプログラムによって得られる1年分の健康改善に対して、約82万8千円の追加費用がかかるということです。
ちなみに日本だと1QALYあたり500万円以下だと良い介入だとされているそうです。
費用対効果の解釈
これは、健康改善のために追加で支払う価値が十分にあるとされる金額です。一般的に、QALYあたりのコストがAU$28,000(約296万円)以下であれば、その介入は費用対効果が高いと評価されます。この基準に基づくと、このウォーキングプログラムは非常に費用対効果が高いと評価されます。具体的には、94%の確率でこの介入は支払う価値があるとされています。
実践への応用
この研究の結果を受けて、個別化されたウォーキングプログラムを実践することが推奨されます。理学療法士の指導の下、初期のウォーキング量を適切に設定し、徐々に増やしていくことが重要です。また、ウォーキング中に発生する可能性のある下肢の問題についても、事前に対策を講じることが必要です。
結論
個別化された進行的なウォーキングと教育介入は、腰痛再発を防ぐための効果的で費用対効果の高い方法です。この介入を実践することで、腰痛に悩む多くの人々が再発のリスクを減少させ、健康的な生活を送ることができるでしょう。腰痛に悩む方は、ぜひこの方法を取り入れてみてください。
この研究から分かることは歩くことを色んな人に推奨していく事ですね。繰り返し、繰り返し伝えて少しづつ歩く歩数を増やしていく、ある程度増えたら早歩きを取り入れる。歩くのを途中でやめちゃった人にも繰り返し伝えてまた歩く事を続けてもらう事ですね。
もうひとつ、面白いのが介入群もコントロール群も最終的には歩数の差がなくなっていく事ですね。いかに歩く事を意識させるかが大事って事ですね。
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