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“1万歩神話”を終わらせるメタ解析――7 000歩で人生はここまで変わる

こんにちは、上鶴間内科クリニックの岩崎です。わたしは以前から「1日7 000歩、週5 万歩」を目安に歩くことを推奨してきましたが、その裏づけとなる決定打が出ました。今回は The Lancet Public Health に掲載された巨大メタ解析をご紹介します。


なぜ7 000歩?研究チームは2014-2025年に発表された57件の前向き研究を統合し、歩数と病気リスクの関係を解析しました。

2 000歩/日という“超低活動”と比べると

目標歩数-全死亡-心血管病-認知症-うつ-転倒

4 000歩 -36 % -15 %    -   -   -

7 000歩 -47 % -25 % -38 % -22 % -28 %

10 000歩 さらに小幅改善

※Lancet 2025より作表(詳細は本文)。


見ての通り、7 000歩に達した時点で多くの病気リスクは“頭打ち”。

これ以上ムリに歩数を増やしても「おまけ程度」しか上乗せされません。

逆に言えば、“あと1 000歩”の小さな増加でも健康効果が得られるのです。


「1 万歩神話」はどこから?

実は10 000歩という数字は1965年の万歩計キャンペーンがルーツ。エビデンスがないまま世界に定着しました。今回の研究で「目安は柔軟でいい」「7 000歩前後でも十分」が科学的に裏づけられたわけです。


実践ポイント

1. まずは現状+1 000歩 

 スマホの歩数計でOK。通勤ルートを一駅分歩くなど。

2. 週5 万歩の“貯金歩き” 

 忙しい日は少なくても、週末の散歩でまとめ稼ぎすれば帳尻は合う

 これは以前わたしが提案した方法です。

3. ゾーン2トレーニングと組み合わせ 

 ゆったり息が弾むペース(ゾーン2)はミトコンドリアを鍛え、加齢による代謝低下を抑えます。歩くときは軽く汗ばむ速歩を15分入れると効率アップ。

4. 筋トレも忘れずに 

 スクワット+腕立てなど自体重トレで骨格筋を刺激し、糖代謝を改善。


注意点と今後の課題

• がん・認知症のデータはまだ少なく、因果関係は確定していません。

• 研究対象は主に健康な成人。慢性疾患や高齢者では最適歩数が変わる可能性があります。• 歩数は“量”の指標。坂道ウォークや速歩など“強度”も加味すると、同じ7 000歩でも効果がさらに高まるかもしれません。


参考文献

1. Ding D et al. Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis. Lancet Public Health. 2025; doi:10.1016/S2468-2667(25)00164-1.2. EurekAlert! プレスリリース(2025-07-23)ほか。⸻

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